2011-01-01から1年間の記事一覧

矢内原伊作『ジャコメッティ』

彼はすぐ三枚目にとりかかったが、もうまっくらだったので今度は電灯をつけた。「自然の光と電灯の光ではずいぶん違って見えるでしょう」と訊くと、「いや全く同じだ、ただ自然の光でのほうがいっそうよく構造が見える」という答えだった。……(24p) (矢内…

罪と罰

罪と罰とか、モンテ・クリスト伯とか、存在と時間とか、イザベラねとか、また寝ても覚めてもとか、アナレクタ1とか、読んでます。 でも普通のことが書きたくなってきたので、ここはそんな雰囲気がいつの間にかなくなってきたので、新しいブログでも立ちあげ…

フーコー『言葉と物』

ほんのちょっとしか読んでないけどなぜフーコーの『狂気の歴史』を念入りに読みながら白川静が「狂字論」を書いたのか、なぜひ孫引きで小島信夫が『美濃』で突然例の「中国の動物の分類」を引用しはじめたのか、わかった。わかったわけではない。 佐々木中が…

佐々木中『夜戦と永遠』が文庫化!?(2)

……思想書で、副題にある通り「ラカン・フーコー・ルジャンドル」の三名について、順番に、ほぼ同量ずつ、語っている。 最終的には、三人の不穏な共鳴によって、「夜戦と永遠の地平」が見えてくる、らしい。まだ「ラカン」の途中までしか読んでなかったから、…

佐々木中『夜戦と永遠』が文庫化!?

どうも、ごぶさたです。一応見ている人がいるようなので、更新してみます。 いつだったかな、ブログをやってて良かったのはいつ何を読みはじめたのか把握できるところで、二月頃に佐々木中の『切りとれ、あの祈る手を』を買って読み出して、それからすぐハマ…

クラフトワーク

今日は、ポータブル・プレイヤーにクラフトワークの「ツール・ド・フランス」を入れて、それを聞きながら自転車で走った。ふだんなら、「〜〜ながら音楽を聞く」という聞き方を進んですることはなく、シチュエーションによって曲の聞こえ方がそんなに変わる…

十三日目

柴崎友香『寝ても覚めても』『主題歌』 『主題歌』「実はわたしも小田ちゃんと同じ気持になってるんじゃないかと思った」。本当に微妙な気持ちについて、書いてある。「喜怒哀楽のどれにも当てはまらない(伊集院光)」。残響。究極までいくと、感情は普通に…

十二日目

佐々木中『九夏前夜』 ペンのインクを変えた(ペンで書いてたの?)。これまた白川静の影響で、一人一人の頭の中に、漢字が形象としておさまっていて、それを自分の手で(白川静によれば、漢字によって書かれた最も古いものは、硬い表面にナイフできざみつけ…

十一日目

佐々木中『九夏前夜』 まだ十一ページ(現在)しか読んでないけど、それでもすでに、自分の小説を読む読み方を徹底的に改める、今までの人生でも何度あったかわからない改変が起こるに足る長さだったらしい。先日ふつうの人に、まだ途中までしか読んでない小…

十日目

ようやく、本来の目標だった「十日間」までたどりついた。「今まで読んだ本の再読」のつもりが、いつの間にか「今読んでいる本」に変わってしまった。でも「昔どんなことを考えていたか」をさぐるのは限界があるし、結局は今考えていることが反映されざるを…

高橋源一郎『「悪」と戦う』『さよなら、ニッポン ニッポンの小説2』を買う

ざいせい状況が悪いなか、4000円分の本を買う。『ニッポンの小説 百年の孤独』は、買ってないけど図書館で借りて何度も読んだ。 高橋源一郎の小説で読み通したのはまだない。『さようなら、ギャングたち』はなぜか終わり20ページくらい残して読みかけ。…

九日目

磯崎憲一郎『赤の他人の瓜二つ』(『群像』2011年1月号) 磯崎憲一郎の文章の特徴の一つに、昔のことを語るのにあまりに現在の言葉を使いすぎる、というのがある。 話者が三人称であってもその時代、人物に寄るのか、それともそれを現在から語るのか、という…

八日目

先回、自分が、ラカンのいう「主体」について、 まず個人、人自体、みたいなもので、しかしそれが「人間が一つの身体の中に閉じ込められているなどということはまったく奇異なことです。」と言わざるをえない広がりを持った、個人、のこと。 って書いたけど…

そらもよう

青空文庫ではなんかサイトの知らせを「そらもよう」というらしいけど、その「そらもよう」でたぶんはじめて自分の作業が取り上げられた。 そらもよう ここでいってる永井荷風の「ぼく東綺譚」というやつは、僕が入力したものです。 永井荷風は去年から著作権…

青空文庫で正岡子規 『日光の紅葉』 『花枕』公開

図書カード:日光の紅葉 図書カード:花枕 『花枕』は、正岡子規の小説。 西洋の「神」「天使」が出てくる。たぶん随筆とかだけで正岡子規を知ってる人は多少びびるんじゃないかと思う。

すいません

毎日更新か、わるくても隔日の更新にしようと思っていたこのブログですが、にわかに他のことにハマりだして、ちょっと集中出来ないような状況になってしまいました。仮にここの更新を期待している人がいたとすれば、申し訳ないです。 ただ、磯崎憲一郎の「眼…

他人の空似

今度こそ毎日更新は無理です。これだけ読書の密度を維持したのは久しくなくて、もうだめです。 というよりも、書くために読む、をずっとやってると、なにかどんどん硬直しそうで、全く新しい風が横から吹いてくる、ということが起きなくなります。 読んでる…

七日目

(六日目の最初から書き直し) 「主体の軸となる現実は……」という章のラカンの抜き書きは、青木淳悟の『いい子は家で』(と柴崎友香の『主題歌』)を読むためのものだった。 しかし、ラカンや精神分析のことを振っておきながら、またこの『いい子は家で』の…

青木淳悟

次は青木淳悟に移る予定。ぜんぜん進まないし取りかかりようがなく、それについて書くのも「支離滅裂」になるしかない気がする。 先月の青空文庫のファイルのダウンロード数のランキングが発表された。自分が作業を担当したのは以下の通り。 (順位)(題名…

六日目

(三日目と四日目を受けて)ところで、この保坂和志の『小説、世界の奏でる音楽』の中の「主体の軸となる現実は……」という章の最初の、大量のラカンの抜き書きも、青木淳悟の小説を読むために引いたものらしい。 今保坂和志という小説家の最近の(2004年から…

五日目

ジャック・ラカン『フロイト理論と精神分析技法における自我』 きのう触れたラカンのところでいった、「精神分析は教育とは違う」ということをはっきりといっている箇所を見付けた。(この「◯日目」という記事は、「誕生日の節目がおとずれたから今まで読ん…

ラカン

五日目はラカンに移ることにしたけど全然進まないというかまとまらない。 ちょっと周辺の事情について、あまりに知らなすぎたかもしれない。

四日目

保坂和志の「小説論三部作」の最後の巻『小説、世界の奏でる音楽』の中の「主体の軸となる現実は……」という章は、本論がはじまる前に、二、三ページ分も、ラカン(心理学者)の「セミネール」という講義録のようなシリーズの中の『フロイト理論と精神分析技…

三日目

保坂和志『小説の自由』(中公文庫、266ページ) こんな箇所があった。 私はよく〈音楽〉という言葉を自分の中だけで使っているのだが、面白いと思った書き出しのワンセンテンスないし一段落を実際に書いてみても、そこから〈音楽〉が鳴る感じがしてこなかっ…

疲れた

きのうの記事を書くのに想像以上に疲れたから、本当にこの企画(誕生日という節目が来たので、今まで読んできた本の中でとりわけどれが印象深かったのか、再読しまくろうのコーナー)を続けようかどうするか迷う。 失敗したのは、いくつか予定した文脈がなぜ…

二日目

次の作家、に行く前に、保坂和志については一日ではあまりに足りないし、大きく影響を受けた評論にぜんぜん触れてないので、今日は評論、に行く前に、前日に引用した『カンバセイション・ピース』のところがまだ気になるというか一番大事なところが言えてな…

無期限延長

自分の誕生日からはじまった「これから十日間は今まで読んだ中でとりわけ印象深かった本を再読しようのコーナー」は、とてもそれだけじゃ足りなさそうだし、作家一人につき一日を目論んでたけどそれも足りないので、合計一か月くらいかけて(どうせここに書…

一日目

せっかく誕生日が来たから(というか急に年齢を重ねるのが恐くなってきたから)、今まで数年間、読んできたたくさんの本の中で、自分の中ではどれが一番きわだっているのか、調べるためにこれから十日間集中して再読することにした。 一日目は今まで例の件が…

おめでとう誕生日

おめでとー誕生日ー、おめでとー誕生日ー。 誕生日ーおーめでーとー、 おめでとー誕生日ー。 パチパチパチパチ。 ほら早くローソク……わーパチパチパチ。 グスッ……ウッ…… どうして泣いてるの? ねえ、お誕生日の晴れの席なのに、言ってごらんお母さんに。 こ…

また欲にかられて言わんでもいいことを言ってしまった

あとで顔をおおいたくなるようなざまです。